バランス感覚
人は生きている以上、必ず誰かと関わっている。
そしてその人たちとお互いに円満に、なんの不満もなく仲良くやっていけることなど無いに等しい、人間とは十人十色どころか、十人百色、いや千色、万色なのだ。
自分のことを100%わかって理解してくれる人など、千人に一人、いや万人に一人もいないと思っていい。
だけど、人間は自分をわかってほしいと望むのだ。
そして
自分が善かれと思ってしたことが悪意で取られることも日常茶飯事であるし、人とは関わり過ぎてもいけないし、距離を置き過ぎてもいけない。
メールを送るにしても、短文で 「了解しました」 では、味気ない。
しかし、そこに少しでも感情(勘定、計算のこと)を入れてしまうと「相手はどう想っているか?」などと腹の探り合いになってしまう。
いっそのこと、用件のみのそっけない奴で通そうかとも思うが、それでは相手の人は心を開いてくれることはない。(人と深く関わっていくことができない)
便利になったようで煩わしいことが多くなった昨今だと思うのは私だけでしょうか?(笑)
自分が書いた文面がどう解釈されるのか?がわからない、相手の表情が見えないのに、伝わりにくい文字だけが相手に届く
メールよりも電話、電話よりも直接その人と会って話す方がずっとスムーズにいく。
いや会っていても誤解されたり、うまく伝わらないことなど、いくらでもある。
お釈迦様は人間の心は蛇蝎(じゃかつ)のごとく と言っておられ、それはヘビやさそりのように毒を持っていたり、性根がひん曲がっているという意味なのです。
さすがのお釈迦様も人間の心の複雑さ、歪んでいるさまには開いた口がふさがらなかったと思うのです。
「なんでそういう風に解釈するかなぁ?」
天(真理)に対して素直ではないからなんでしょうね。
だから人間の心はつかみどころがない、わけがわからないものなんだ、相手に対してそんなところに気持ちがひっかかっていると身が持ちませんよ。そんな小さなわけのわからないところに意識を向けないで自分の本心のある広い、ひろ~い天(宇宙)に心を向けないさいと次の文章は説いているのです。
私は釈尊(お釈迦様)の次の言葉が好きである。「沈黙しているのも非難され、多くを語るのも非難され、少しを語るのも非難される。世に非難されない者はいない」この世に生ある限り、何をしても人は非難の目、嫉妬の目をもって他人を見つづけるのである。人の目を気にして生きいたならば、自分の身が持たない。天の目を気にして生きてゆくことだ。(西園寺昌美)
そして、この文章を読んで、ああ肉体人間なんて凡夫なんだ、たいしたことはないんだ、人間なんてバカなんだ。
と一旦は、気持ちが落ち着くのですが、それだけでは本当には気持は治まらないのです。
そこには、自分を内省するという行為が欠けているからです。
「人間なんてバカなのさ」 だけで終わると言い訳をしているのと同じなのです。
解決していないのです。
相手のせい、人間という存在のせいにしている。
自分を顧みることをしていない、相手を否定してそこで終わっている。
だから心の奥底では納得していない、心が消化不良なんです。
そこで出て来る言葉がこれなのです。
なぜそんなに人を許せないのか。なぜ毎日暗く、悶々として生きていかねばならないのか。どこにその原因があるのか。それは自分の心の中にある。自分自身を許せない自分がそこに存在しているから許せないのである自尊心が傷ついてゆくのがたまらず、みていられず、そのため人が許せないのである。原因はその人にあるのではない。自分の心の中にあるのだ。(西園寺昌美)
ああそうか、原因はすべて自分にあるんだ、悪いのは相手ではない、自分なんだとそこで反省する。そして自分を責める心境になる。
だがお釈迦さまがおっしゃっていたように、人間の心が蛇蝎(じゃかつ)のようであることも確かなのです。
私たちは相手の心に入っていってその蛇やトカゲのような心を矯正させることはできない。
だからあきらめも大切なのです。
想いに執着することほど苦しいものはない。
自分の心をあるときは奮い立たせ、またあるときはあきらめに近い心境で
「今はしかたがないんだ」 と気持ちを納得させる。
案外あきらめるとスッキリするのです。
あきらめるとはあきらかにするということ
やるだけのことをやったら後は天に任せて
そこ(どうにもならないこと)から想いを放つのです。
人間とはつくづくバランス感覚が大切だなぁと思うのです。
この文章を交互に読んでいると落ち着いてくるから不思議です(笑)。
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