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2012年4月 8日 (日)

思わんとあきまへんなぁ 2

  
 

求めたものだけが手に入るという人生の法則


 
・・・・いいかえれば、その人の心の持ち方や求めるものが、そのままその人の人生を現実に形づくっていくのであり、したがって事をなそうと思ったら、まずこうありたい、こうあるべきだと思うこと。

それもだれよりも強く、身が焦げるほどの熱意をもって、そうありたいと願望することが何より大切になってきます。

そのことを私が肌で知ったのは、もう40年以上も前、松下幸之助さんの講演を初めて聴いたときのことでした。

そこで松下さんは有名なダム式経営の話をされた。

ダムを持たない川というのは大雨が降れば大水が出て洪水を起こす一方、日照りが続けば枯れて水不足を生じてしまう。

だからダムをつくって水をため、天候や環境に左右されることなく水量をつねに一定にコントロールする。

それと同じように、経営も景気のよいときこそ、景気の悪いときに備えて蓄えをしておく、そういう余裕のある経営をすべきだという話をされたのです。

それを聞いて、何百人という中小の経営者が詰めかけた会場には不満の声がさざ波のように広がっていくのが、後方の席にいた私にはよくわかりました。

「なにを言っているのか、その余裕がないからこそ、みんな毎日汗水たらして悪戦苦闘をしているのではないか。余裕があったら、だれもこんな苦労はしない。我々が聞きたいのは、どうしたらそのダムがつくれるのかということであって、ダムの大切さについて今さらあらためて念を押されてもどうにもならない」

そんなつぶやきささやきが、あちこちで交わされているのです。

やがて講演が終わって質疑応答の時間になったとき

一人の男性が立ち、こう不満をぶつけました。

「ダム式経営ができれば、たしかに理想です。しかし現実にはそれができない。どうしたらそれができるのか、それを教えてくれないことには話にならないじゃないですか」

これに対し、松下さんはその温和な顔に苦笑を浮かべて、しばらく黙っておられました。

それからポツリと

「そんな方法は私も知りませんのや。知りませんけども、ダムをつくろうと思わなあきまへんなあ」

とつぶやかれたのです。

今度は会場に失笑が広がりました。

答になったとも思えない松下さんの言葉に、ほとんどの人は失望したようでした。

しかし私は失笑もしなければ失望もしませんでした。

それどころか、体に電流が走るような大きな衝撃を受けて、なかば茫然と顔色を失っていました。

松下さんのその言葉は、私にとても重要な真理をつきつけていると思えたからです。



  

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